dBはそのまま足せない
デシベル(dB)は、音のエネルギーを基準値との比の対数で表した値です。そのため、70dBの音と70dBの音を合わせても140dBにはなりません。足し算をするときは、いったんエネルギーの量に戻してから合計し、再びdBに直します。
L = 10·log₁₀( 10^(L₁/10) + 10^(L₂/10) + … + 10^(Lₙ/10) )
10^(L/10) が「基準に対して何倍のエネルギーか」を表しており、これを足し合わせてから常用対数をとって10倍します。
計算例
例1:70dBと73dBの機械を同時に動かす
10^(70/10) = 10,000,000
10^(73/10) ≒ 19,952,623
合計 ≒ 29,952,623
L = 10·log₁₀(29,952,623) ≒ 74.76 dB
例2:80dBの機械を5台並べる
同じレベルの音源がn台あるときは、L + 10·log₁₀(n) で求められます。
80 + 10·log₁₀(5) ≒ 80 + 6.99 = 86.99 dB
早見表:2つの音のレベル差と増加量
大きいほうのレベルに、次の値を加えると合成値になります。
| レベル差 | 増加量 | レベル差 | 増加量 |
|---|---|---|---|
| 0 dB | +3.01 | 6 dB | +0.97 |
| 1 dB | +2.54 | 7 dB | +0.79 |
| 2 dB | +2.12 | 8 dB | +0.64 |
| 3 dB | +1.76 | 9 dB | +0.51 |
| 4 dB | +1.46 | 10 dB | +0.41 |
| 5 dB | +1.19 |
レベル差が10dBあると、小さいほうの音はほとんど合計に影響しません。騒音対策では、一番大きな音源から下げるのが最も効果的です。
dBの引き算(背景騒音の補正)
工場や屋外で対象の機械の音を測ると、周囲の音(背景騒音・暗騒音)も一緒に測定されます。対象の音だけのレベルを知りたいときは、エネルギーで引き算します。
L = 10·log₁₀( 10^(L₁/10) − 10^(L₂/10) )
L₁:対象音+背景騒音(測定値)
L₂:背景騒音(対象を止めたときの値)
計算例:測定値82dB、背景騒音78dB
L = 10·log₁₀( 10^8.2 − 10^7.8 ) ≒ 79.80 dB
1台だけ止めたときのレベルを求める場合も、同じ式で計算できます。
早見表:レベル差と補正量
| レベル差 L₁−L₂ | 補正量(引く値) |
|---|---|
| 3 dB | −3.02 |
| 4 dB | −2.20 |
| 5 dB | −1.65 |
| 6 dB | −1.26 |
| 8 dB | −0.75 |
| 10 dB | −0.46 |
レベル差が小さいほど補正量が大きくなり、測定値のわずかなばらつきが結果に大きく影響します。差が3dB未満の場合は、対象音を正確に求めるのは困難です。正式な測定では、JISなどの規格に定められた補正方法や条件に従ってください。
エネルギー平均と算術平均
時間とともに変わる騒音の「平均レベル」を求めるときも、dBのまま平均せず、エネルギーで平均します。
エネルギー平均 = 10·log₁₀( (1/n)·Σ 10^(Lᵢ/10) )
たとえば70dBと80dBのエネルギー平均は約77.40dBで、算術平均の75dBより大きくなります。大きな音の影響が強く反映されるためです。